油断大敵・子供の片頭痛 「仮病」と取らず受診を
熱はないが、「頭が痛い」。そうした子供の訴えを「仮病」と片づけるか、病院に連れて行くか、判断に迷うことは多い。片頭痛を持病とする子供は意外と多いようだが、適切な診断を下せる医師は少ないという。放置すれば学校の長期欠席につながる場合もあり、甘くみるのは禁物だ。
放置は学校の長期欠席にも
3年前の夏休み明けの朝。東京都世田谷区に住む賢吾くん=当時(10)=は突然、「頭が痛い」といって寝床から起きあがれなくなった。夏風邪の診断を受けたが、何日たっても起きあがることができず、母親も「もう夏休みは終わり」と布団をはがして叱咤(しった)したが、気力では重い頭を持ち上げることはできなかった。
学校を休む日は次第に増え、5年生の2学期に登校できたのは終業式のたった1日。その間、賢吾くんは耳鼻科、整形外科、小児科を受診したが検査で異常は見つからず、思春期外来では心の問題から登校拒否になっているのだといわれ、傷ついた。
好転したのは、テレビで頭痛外来を知ったことがきったけだった。通院して初めて「片頭痛」と診断を受け、薬を処方されて飲んだ賢吾くんは5年生の3学期以降、ほとんど休まず登校できるまでに回復。今も朝晩予防薬を飲み続けているが、「心の病気と勘違いされてつらかったけど、いい先生と薬に出合えてよかった」と話す。
ひどい場合、つらくて学校を休みがちになるうえ、治療できる専門家も少ない。では親は、どのような点に注意を払えばよいのか。『ママ、頭が痛いよ!』(ワンツーマガジン社)の著書がある、東京女子医科大学・脳神経センター頭痛外来担当の清水俊彦医師は、片頭痛になりやすいタイプを指摘する。
片頭痛は遺伝的要素が大きく、特に母親が片頭痛だと7割ほどの確率で子に受け継がれる。こめかみを中心にズキンズキンと痛み、吐き気や嘔吐(おうと)を伴うこともある。早い場合は幼稚園に通うころから発症することもあるという。
片頭痛はストレスから解放された状況で発症することも多く、発症プロセスには諸説ある。最も有力なのが「三叉(さんさ)神経血管説」。脳内の血管は、緊張状態で働く交感神経によって収縮するが、緊張が解けるとともに副交感神経の働きによって緩んで拡張する。それが過ぎると、脳幹につながる三叉神経を圧迫・刺激することで痛みが生じる。
過膨張の一因として、緊張解放を促す神経伝達物質、セロトニンの働きが関与していると指摘されている。
そのため、子供たちが学校から解放された下校途中や自宅で頭痛を訴える例が目立つ。しかし、ストレスのない週末は元気に過ごしていることから、「仮病」とみられることが多いようだ。
「新学期は環境が変わり、緊張することが多いので帰宅後の頭痛は多い。また春は脳のセロトニンの変動が大きかったり、季節的に低気圧が多く、また昼夜の気温差が大きいので片頭痛が起こりやすい」と清水医師。
体育の時間に外気温や運動により血管が拡張しても頭痛になるが、その場合も「さぼり」と勘違いされ、つらい思いをすることがある。「まずは仮病ととらず、頭痛外来の受診を」と清水医師は呼びかける。
日常生活で心がけるべき予防策はあるのか。清水医師は「睡眠時は副交感神経が優位となり血管が緩むため、睡眠のとりすぎが血管のむくみを招くこともある。寝過ぎないように注意して」と呼びかける。
また、花粉症やぜんそくなどのアレルギーが片頭痛に関与している場合もあり、その場合は西洋フキなどハーブのサプリメントを摂取すると予防効果を発揮することもあるとアドバイスする。さらに、片頭痛の予兆があった場合は入浴や運動、マッサージなど血行を促す行動は避けたほうがいいという。
(2007/05/23 13:55『Sankeiweb』より)
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